あの後ろ姿・・・道化師の格好をしてる者といえば、スカイリムであの人しかいない。
どうしてホワイトランにいるんだろう・・・。あの夜の出来事から一切、顔を合わしてないし話もしていない・・・。
宿内で出くわすことになるだろうけど・・・無視していよう、他人のフリをしよう・・・
無理に話しかけることも、
したくない。・・・だって・・・妙に息が苦しくなるんだもの。考えるだけで・・・・・いえ、考えないようにしなくちゃ!今は違うことを考えよう。
ここバナード・メアには、美味しい家庭料理と暖かいベッドが私を待っている・・・!
楽しもうじゃないか、満喫しようじゃないか、スカイリム中心部のホワイトランを!
決して高い給料ではないが・・・順調に稼いでるし、今までのひもじい生活から少しだけ離れて生活できている。
スカイリムの野外における危険からも回避できるし、一石二鳥ではないか。
『さぁ、来るがよい! 戦の準備は整ったぞ!!』
・・・――――カランカラン。
扉を開けた途端、ドアチャイムが辺りに鳴り響いた。
・・・・!
余計な物を付けてくれちゃって・・・気付かれたらどーするのよ。
最初に出迎えてくれたのは、この宿の経営者フルダだ。
フルダ:いらっしゃい!久しぶりね、従士様。
Sumomo:え・・・覚えててくれたの?・・・もう、忘れちゃったのかと思ってました。
フルダ:もちろんよ!あなたはホワイトランの英雄なんだから。いいえ、スカイリムの期待の星よ!
周りに座っていたお客達がこちらを振り向き、一声に大歓声を上げた。
ワァーーーーーーーー!『なぜなぜ何故なのぉ~!?』
・・・ああ、全てが終わった・・・・・私はやはり、ついてない。
がっくり肩を下ろすSumomoを尻目に、カウンター席は大盛り上がり。
そんな中、宿内の隅の柱からそっと覗き込む一人の男の姿が・・・・・
シセロは完全に私の存在に気付いてしまったようだ。
Sumomoの戦、これにて終了―――――。
・・・ところが何を思ったのか、シセロはバナード・メアの調理場へ急いで走って行った。
『あ・・・ああああれ?あれれ??どうして逃げちゃうの?』
あの時のこと・・・・まだ怒ってるの・・・かな?誤解したまんま・・・??
・・・まあ、いっか。
話しかけられないだけマシって感じだよね。少しほっとした・・・・。彼の行動ちょっとおかしいけどね・・・・。
それから、しばらく経ってからのことだ。
サーディア:・・・いい加減、私の調理場から出て行ってもらえないかしら?
気が散ってしょうがないんだけど!・・・あのね、そのビーフシチューはお客様に出す物よ!
お金が無いのなら、ここから出て行って!
何やら怒鳴り声が聞こえてくる。
フルダ:まったく、サーディアったら声が大きいんだから。従士様、恥ずかしいところをお見せしてごめんなさいね。
Sumomo:い・・・いえいえ!とんでもないですぅ~・・・
シセロ、お金無いんだ・・・・・・。Sumomo:あのね、フルダさん。今夜はここに泊めてほしいの。お部屋は空いてる・・・?
フルダ:もちろんよ。あいにく老朽化が進んでて、床に穴が開いてるわ。
修繕費が結構かかるから直してないけれど・・・ベッドだけは特別な部屋なの。
そこに案内するわね。お代は安くしておきますから。
Sumomo:ありがと~!それにしても、このスープ美味しい~♪心が暖まるよ!
シセロ:・・・・・・。
シセロは宿の隅のテーブルから私の行動をジッと観察していた。
フルダ:困るのよね・・・ああいう人。お金も無いのにずっと入り浸って。
言動も普通じゃないのよ。・・・・あの継ぎはぎの赤い服を着た怪しい人は従者様のお知り合い?
Sumomo:いえ!・・・知らない人です。(キッパリ
フルダ:そ、そうなんですか?
だったら、怖いわねえ・・・。あの部屋で大丈夫かしら・・・鍵が壊れていて・・・。
狭くて綺麗ではないけれど、シングルベッドで構わないのならご案内するわよ?
Sumomo:だ・・・・大丈夫・・・です・・・。
フルダ:無理しないようにしてくださいね。何かあったら直ぐすっ飛んで行きますから!
それにしてもこの世は不公平よね・・・あの道化師、顔は全然悪くないのに・・・・。
トクン・・・そうかも・・・・・・改めて意識して見ると・・・・・・・いや・・・ここからじゃ、わかんない。
Sumomo:あはっ。そんなの関係ないですよ~。フルダさん、顔が良くてもね~・・・
性格もそうだけど、特に
悪癖あるなら一緒になんて居られないでしょ?
シセロが私に対して皮肉を言ったように、私もわざと大きな声で聞こえるように嫌味を言った。
フルダ:・・・そうねぇ・・・長くは続かないわよね。
Sumomo:・・・さて、ご飯も食べたことだしちょっと休もうかな・・・
Sumomoの胸の内にあるモヤモヤした気持ちが少しだけ無くなった。
これで今夜はぐっすり眠れそう・・・・奇妙な夢を見なければの話だが・・・。
第四紀188年 黄昏の月1日
ブラヴィルが危機に陥っている。
幸運の老女の像が破壊されると、アリサンヌ・ドゥプレは像の残骸の
下に隠されている夜母の墓地を守るために邸宅を離れた。
もし墓地が発見されればもちろんアリサンヌ・ドゥプレは
自分の命が尽きるまで不浄なる母の遺体を守ろうとするだろう。ラシャはこれからガルナグとアンドロニカを墓地の守りに加勢させるために
墓所に送り込む。私も同行を強く訴えたが、ラシャは聞き入れてくれなかった。
私の役割はこの場所でこの聖域を守ることだと言うのが彼の言い分で、私には
その決断を尊重する他ない。
――――――――――――――――――――・・・・
彼の声が聞こえる・・・
近くて・・・でも、とても遠い場所で・・・・。
・・・―――――――――――――――――・・・
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