【第13話】夢の中の老人
話の内容は二人だけの秘密。
ヴィーザラは悲し気な表情を浮かべたが、アストリッドには一切伝えないと約束を交わした。
もしこの内容が漏れたら忽ち噂が広がり、夫のアーンビョルンの耳にも届くだろう。
想像するだけでも鳥肌が立ってしまう・・・。
『ごめんね。・・・でも、あなたの為でもあるし・・・この聖域の為でもあるの』
Sumomoは自分の寝室に戻り、ベットに横になった。
『・・・シセロ・・・まだ怒ってるのかな・・・?』
・・・―――そう思いながら、鞄からシセロの日記第2巻を取り出し目を通した。
これがシセロの心を移す日記。
辛くなったとき、寂しくなったときに読もうと決めている。
それに・・・シセロの気持ちをもっと知りたいと思っているから・・・。
別に、変な意味じゃないよ・・・。
第四紀188年 南中の月7日
ウェイレストを失った。街は海賊の手に落ち、聖域が侵略されるのも
時間の問題だ。万が一の時は、夜母のご加護がありますように。
第四紀188年 収穫の月5日
今日、知らせを受けた――。
ウェイレスト聖域は海賊の襲撃にあって破壊された。生存者はいない。
これで実際に機能している闇の一党の拠点は残りたった3つとなってしまった。
ここ帝国地域にあるシェイディンハル聖域、スカイリムの
森の中に位置する遠隔地の聖域、そしてエルスウェーアにあるコリンス聖域だ。
ブラックハンド(闇の一党の幹部)はコリンス聖域の閉鎖、そして
そのコリンス聖域のメンバー達をここシェイディンハルにいる我々の階級の中に迎え入れて
一体化することを命じた。
自分がここに住み始めた当初してもらったように、私は新しく家族のメンバーとなる者達を
暖かく迎え入れるつもりだ。
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『・・・またあの夢・・・? この建物は私に何の意味を示しているの・・・?』
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『いい場所だといいんだけど・・・』
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Sumomo・・・
・・・――――――――――――・・・
わお!面白い手品だねぇ。教えて・・・?教えてくれよぉ!
・・・――――――――――――――――――――――――・・・
Sumomo・・・
・・・――――――――――・・・
どうすれば聞こえし者の力になれる・・・?
・・・―――――――――・・・Sumomo・・・
・・・・・・。
・・・――――――――・・・
『え?・・・何?聞こえない・・・・・』
・・・―――――――――――――――――・・・・・・
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自分の未来が少し見えるの・・・近い将来私は死ぬわ。
家族のことは分からない・・・でも・・・虚無に深い闇が渦を巻いていて・・・・・
私の古い友人に話を聞いて。
あなたの進むべき道をきっと示してくれるはずよ・・・。
『古い友人とは一体誰なの?ねえ・・・教えてよ、ガブリエラ!』
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・・・今日も平和だわ。あら・・・? かわいい猫ちゃん。
『・・・?』
そう、あんたのことだよ。こっちへいらっしゃい・・・。怖がらないで・・・傷つけるようなことはしないよ。
『私のこと・・・見えるの?どうして・・・?』
ふふふ・・・どうしてだろうね?
・・・だが、全然不思議なことじゃないよ。だってここはあんたの・・・夢の中だろう?
『そ・・・そうだね!言われてみれば・・・。あははっ!』
こう見えて私は大の占い好きなの。
お茶占い、手相占い、水晶占い、タロット占い・・・それから・・・・・・頭蓋穿孔なんてのもあるんだ。
『頭蓋穿孔・・・・・?』
今度遊びに来てくれたら・・・特別に占ってあげるよ。
・・・・・少し気になることがあってね。
『気になること?・・ねえねえ・・・それより、おばあさん・・・場所はどこなの?
教えてくれないと行くにも行けないよ』
教えてくれないと行くにも行けないよ』
・・・――――――――――――――――・・・
・・・・。
『え・・・?ちょ、ちょっとッ!・・・全然聞こえないよぉー!
・・・私の夢はいつも肝心なところで聞こえなくなるんだから・・・!』
・・・私の夢はいつも肝心なところで聞こえなくなるんだから・・・!』
・・・――――――――――・・・
ふふふ・・・
・・・そうね、あんたがよく遊びに来る街だよ。
あんたが伝説のドラゴンボーンと最初に噂された街に私は住んでいるんだ。
それがヒントかねぇ・・・
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・・・―――――――・・・
『・・・・・・もしかして・・・』
奇妙な夢だったにも関わらず、不思議と安らぎを得た感じがした。
あの謎の老人はいったい・・・。
ガブリエラが言ったこと・・・・・・・・信じたくない。
自分の夢に出てくることが正夢になるとは思わない。だから気にしないことにする・・・。
シセロは私に何を言いたかったのかな・・・?
考えても答えは出てこない・・・なぜならSumomoの心の中の夢なのだから。
いずれにしても、本人の口から語らなければ・・・私の夢物語はこのまま先へは進まないのだろう。