【第16話】ホラーツアー・・・:後編
第四紀188年 黄昏の月12日
任務をしくじって、報酬を没収された。
絹織物商は既に冷たくなっていたが、彼女の娘が部屋に足を踏み入れた時
私はまだ、窓から外には出ていなかった。・・・その時点で選択の余地はなかった。
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ポタ・・・・
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母さん
あのね・・・
あのね・・・
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怒った顔は好きじゃないよ
・・・・
笑ってほしいんだ
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怒った顔は好きじゃないよ
・・・・
笑ってほしいんだ
・・・―――――――――――――――・・・
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『また・・・・味わいたいな・・・・』
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・・・・・。
!
Sumomo:・・・怖ッ!!
シセロ:人の顔見て第一声がその台詞とは・・・期待外れだったようだ。
『何を期待してたの・・・?』
・・・・とても殺気を感じた・・・。
Sumomo:あ、あのね~・・・・そのぉ~・・・・人の部屋に勝手に入らないでほしいの。
しかも・・・・女性の部屋に男性が押し入るなんて・・・。・・・いったい何を考えていたの?
シセロ:・・・さぁねぇ・・・・・・知りたい?私のこと、知りたい??
Sumomo:う・・・・・・・
シセロはおもむろにベッドに腰を下ろすと、持っていたナイフを取り出した。
刃先に向かってスーッと爪を当てて切れ味を確かめると、ナイフの先端部分をキラキラ光らせては
Sumomoに向かってチラつかせた。
Sumomo:ちょ・・・ちょっと!こんな場所でそんなの振り回さないでよ。
危ないからナイフを鞘にしまってくれない?
シセロ:・・・心配しなくていい。従順なシセロは聞こえし者を殺したりはしないよ。
とても、信頼しているからねえ・・・・。
『さっき見た夢はシセロの・・・・・・記憶?・・・だとすれば、私の心とシセロの心を同調させれば
もっと深部まで見れそうなきがする・・・・・・・でも・・・』
あの先を見るのがとても恐ろしくなった。
シセロ:聖域に母を置いてきたのが心残りだ。
・・・しかし聞こえし者との約束を果す為に、少し遠出してきたのだ。
Sumomo:それで・・・その背中のかわいいリュックを買ったのね?
シセロ:これかい?・・・・これは拾ったのさぁ。へへへ・・・
ちなみにこの中身は・・・帰ってからのお楽しみだよ!・・・・3日前のこと、覚えてるかい?
3日前?・・・・ああ~・・・思い出した。私にプレゼントするとか言ってた物がその中に入ってるんだね。
お金が無くなっちゃった理由はその為なのか・・・
『・・・ん・・・あれ・・・?』
Sumomo:・・・なんか、そのリュック・・・赤黒い染みみたいなのが幾つもついちゃってるよ?
私の着てるローブと汚さは一緒だね。あははは・・・・!
シセロ:・・・・・・。
Sumomo:・・・・・・・あああああ、いやいや・・・なんでもない!なんでもないよぉ~!?
今のは聞かなかったことにしてねッッ!
シセロが黙り込むと怖い・・・・。
キュルルルルゥ・・・・
腹の虫が鳴り出し、シセロはいきなり床に手をついてうずくまった。
シセロ:聞こえし者ぉ・・・シセロはお腹が空いた・・・金貨が底をついて寝る部屋も取れない・・・・・・。
Sumomo:・・・・・お金どれだけ持って行ったの?
シセロ:500・・・・
『え!? ・・・たったの500G・・・?移動費、食事代、宿代、雑費・・・・その中から
私のプレゼントを買ったわけ・・・?・・・嘘でしょう・・・?』
シセロ:聞こえし者ぉ・・・
『・・・・・・』
『ゲホッ!・・・あまり期待しない・・・気持ちだけ頂いとくわ・・・』
Sumomo:分かった分かった。・・・しょうがないなぁ。
Sumomoはポケットから食事と宿泊分の金貨を出してシセロに渡してあげた。
シセロはその金貨をギュッと握り締めると、にっこり微笑みスキップしながら階段を下りていった。
『くすッ。なんかほんとに・・・』
いつものシセロに戻ってくれてよかった・・・と、Sumomoはほっと胸を撫で下ろした。
・・・――――それから30分が経ち、午後22時をまわっていた。
食事を終えたシセロは何食わぬ顔で部屋に戻ってくると、早速寝る準備をし始めた。
Sumomo:何故、戻ってきたぁ・・・・!?
シセロ:残念ながら満室だったのだ。・・・だが、私はそのほうが都合がよくてねぇ。
守りし者は夜母の世話だけでなく、聞こえし者を危険から守るのももう一つの役目なんだから・・・・・・。
ジロリ。
シセロはベッドに寄りかかり、枕をジッと見てこう呟いた。
シセロ:大きなベッドは聞こえし者に相応しい。
・・・だが、枕が二個あるのは非常に勿体無い気がするんだが・・・。
Sumomo:な、何言ってるの!?冗談言わないでよ。
悪いけど・・・一緒には寝たくないし、そこまで仲いいってわけじゃないし・・・・。
・・・仲良くても絶対ありえないんだけどさ。
シセロ:名誉ある聞こえし者が偉大なのは分かっているよ・・・へへへ。
シセロは長旅で非常に身体が痛いんだ・・・今夜だけ・・・ちょっとだけならいいよね?・・・ね??
疲労が溜まってるのは私も同じ状態だった。
私は彼のことは、スカイリムの何処に行って来たのかは知らない。
・・・よくよくシセロの顔を見ると、目の下のクマが目立っているのが分かった。
私だけふかふかなベッドで疲れを癒し、彼は硬くて落ち着かない椅子でうずくまりながら一晩を過ごす・・・
当然、見捨ててしまうのは人としてあってはならない・・・私が闇の一党に入る以前にあった
道徳的な概念が更に薄れてしまうわけで・・・・
『やむを得ないか・・・。私が聞こえし者だからきっと手を出さないに決まってる。それにシセロは、思っている以上にバカじゃない』
Sumomo:・・・・・。言っとくけどねぇ・・・私に変なことしたら、光速でソブンガルデへ送ってあげるから。
シセロ:ソブンガルデ・・・出来ればこの目で確かめに行ってみたいんだが生憎、私はノルドじゃないのだ・・・
Sumomo:インペリアルね、はいはい・・・
『あ~・・・ムカツクぅ~!!』
シセロ:ククク・・・
Sumomo:人を怒らせといて何が面白いんだか!・・・ったくぅ~!
シセロ:ところで夕食のビーフシチューは美味しかったかい?聞こえし者の為に愛情の念を込めてかき混ぜたのだ。
Sumomo:・・・・・・・。
はぁ~~~~・・・。
あれはその為だけに調理場に入ったんだね・・・シセロ。私のために・・・ありがとね。
あははは・・・
従順で、陽気で、ハンサムで、どこか奇妙で、幼いところがあって・・・
立ち振る舞いは不思議なものだったが、普段のシセロそのものだった。
今はまだ確信は持てないが、徐々にこれから影の部分が明らかになっていくだろう・・・
・・・・・・―――――人や動物達や植物達も眠る真夜中のこと。
私は夢の中で深い闇の深淵を彷徨っていた。
その深淵は彼の過去を徐々に映しだしたのだ・・・・・。